知っておきたい!妊娠後期のマイナートラブル1


Q1 妊娠後期の体はどう変わるのですか?

A 大きくなった子宮が周囲の臓器や血管を圧迫


おなかがぐんと大きくなる妊娠後期の妊婦さんは、様々な不快症状に悩まされます。どんな症状が、なぜ起こるのかを知っておくと、慌てずに対処できます。
妊娠後期とは、妊娠8〜10ヶ月(28〜39週)を指し、この間に赤ちゃんの体重は1000gあまりから約3000gにまで発育します。妊娠していない時の子宮は鶏の卵ほどの大きさですが、後期には子宮底(子宮の一番上の部分)がみぞおちあたりまで上がってきて、胃や横隔膜が押し上げられ、心臓や肺が圧迫されます。さらに腸、膀胱、静脈も圧迫され、下半身の血流が悪くなります。
前方にせり出したおなかを支えるため、常に背中を反らせたような姿勢になります。赤ちゃんの重みで足の付け根の恥骨が広がり、骨盤にゆがみが出てきます。
一方、妊娠中はホルモンの分泌バランスも劇的に変化します。後期には骨盤から女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが多量に分泌され、妊娠の維持や授乳の準備のために働きます。プロゲステロンには、子宮を構成する筋肉である平滑筋を緩める作用(おかげで子宮が大きくなれる)や、体に水分をためこむ作用もあります。

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Anetis(アネティス) 2018春号 教えて!ドクター妊娠なんでも相談室より

※こちらは2018年3月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【なないろレディースクリニック院長 黒田 勇二(くろだ ゆうじ)さん】

愛媛大学医学部卒業。同医局部産婦人科助手、愛媛県八幡浜市八幡浜総合病院、国際医療福祉大学講師、山王病院(東京都港区)リプロダクションセンター勤務等を経て2007年「なないろレデースクリニック」(茨城県つくば市)を開院し院長に。希望あふれる未来への懸け橋(虹)となるよう「なないろ」と名付けた。日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、新生児蘇生法認定インストラクター。