胎盤のトラブルには、どんなものがあるの?1
胎盤は赤ちゃんを育む特別な臓器。 お母さんと物質の交換を行います。
赤ちゃんのへその緒(臍帯)とお母さんの子宮をつないでいる「胎盤」には、どんな役割があるのか。あまりよく知らない方が多いのではないでしょうか。胎盤の形成が始まるのは、妊娠初期の7週ごろからです。受精卵が子宮に着床して胎嚢(赤ちゃんを包む袋) ができると、その周囲に絨毛という組織が育ってきて、根を張るように子宮内膜へと侵入していきます。そこにはお母さんの血管が通っているため、絨毛の侵入とともに出血が起こり、母体血のプールができます。つまり胎盤というのは、赤ちゃんの絨毛がお母さんの血液のプールにつかっているような構造物なのです。絨毛の中には赤ちゃんの血液が流れていますが、母体血と混ざり合うことはありません。
胎盤では、母子の間で、さまざまな物質が交換されています。赤ちゃんは、お母さんの血液から酸素と栄養(糖や アミノ酸など)をもらい、二酸化炭素と老廃物を渡しています。また、妊娠の継続に必要なホルモン(ヒト絨毛性ゴ ナドトロピン、エストロゲン、プロゲス テロンなど)も、胎盤から分泌されます。胎盤は、赤ちゃんにとって肺、消化器、腎臓、ホルモン分泌器官などの役割を持つ、特別な臓器なのです。
胎盤の機能は、妊娠15週ごろまでに完成します。その後も赤ちゃんの成長とともに大きくなり、出産予定日近くには体重の6分の1程度(出生体重が3000gの場合は約500g)になリます。
Anetis(アネティス) 2019夏号 読む妊婦健診より
※こちらは2019年6月時点の情報/記事になります
■ お話をうかがった先生■
倉敷成人病センター
周産期センター センター長
山崎史行 先生
1977年岡山大学医学部卒業。同大学附属病院、三菱水島病院、高知県立安芸病院を経て83年より倉敷成人病センターに勤務。「安心安全なお産」「出産難民を出さない」をモットーに、これまで2万件以上の分娩を担当。 2019年1月に岡山県医療功労賞を受賞した。