35歳以上で初めての妊娠。気をつけることは?3


妊娠中、産後も無理は禁物。仕事や家事より自分の体調優先で。


もちろん、35歳以上でもトラブルなく赤ちゃんを産んでいる女性はたくさんいるのですが、前述のような合併症や難産になるリスクが高いことを 自覚し、妊娠中は意識して体調管理を行うことが重要です。
妊娠糖尿病の多くは体質によるものですが、妊娠高血圧症候群は、体重の急激な増加や塩分の取り過ぎに注意し、安静を心がけることで、ある程度予防はできます。少しでも疲れたと思ったら、できるだけ横になって安静にしてください。急に仕事を休まなければならなくなる場合もあるので、そういったリスクを上司や同僚に伝え、自分がいなくても周囲の人が困らな いようにしておきましょう。
妊娠合併症がない場合には、主治医に相談しつつ、ウオーキングやスクワットなどで適度に体を動かすと安産につ ながります。栄養面では、神経管閉鎖障害などの先天異常を防ぐために、葉酸サプリメントを妊娠前から1日400μgは取るようにしましょう。妊娠前~妊娠初期の葉酸摂取には、先天性の心臓病や口蓋裂、流産などの予防効果も期待できることがわかってきています。一方、社会でキャリアを積んできた人は、育児も仕事と同じように完璧にこなそうとするため、「産後うつ」になりやすい傾向があります。年齢を重ねていても、初めての育児はうまくいかなくて当然です。必要に応じて育児相談、育児支援サービスなどを活用し、育児・家事や、つらい気持ちは一人で抱え込まないようにしましょう。

Anetis(アネティス) 2019夏号 読む妊婦健診より

※こちらは2019年6月時点の情報/記事になります


■ お話をうかがった先生■

近畿大学医学部
産科婦人科学教室 講師
鈴木彩子 先生

1994年関西医科大学医学部卒業。国立大阪病院(現国立病院機構大阪医療センター) 産婦人科レジデント、京都大学医学部附属病院婦人科学産科学教室助教、大津市民病院産婦人科診療部長などを経て、2013年より現職。専門は周産期、婦人科腫瘍。日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医。