妊婦さんのための「新型コロナウイルス対策」教室<2限目>


外出自粛でもできる産後うつの予防策とは。

子育ての不安が増したコロナ下において、どうやって産後うつに備えたらよいでしょうか?

産後うつの予防にもっとも有効なのは、人とコミュニケーションを取ることです。子育ての悩みを一人で抱え込まずに誰かに話したり、何でもない世間話をしたりするだけでも効果があります。外出自粛を余儀なくされている今、実家のご家族や友人と直接会うことは難しいでしょうから、LINEやSkype、Zoomなどのツールを使って遠隔地にいる人たちとも話す時間を作ってみてください。

そのときに大切なのは、一方的に情報を受け取るだけではなく「双方向のコミュニケーション」を取ること。昨今はSNSなどで気軽に誰かの発信を受け取ることはできますが、実はそれがストレスにつながるケースも多くなっています。どんな内容でもいいので、あなたから発信することをぜひ心がけてみてください。

パートナーや家族にできる産後うつ対策はありますか?

ママの話を親身になって聞いてあげること。そして、日ごろからママの様子を見守るようにしてあげて下さい。産後うつを発症する人は、自覚症状がない場合が大半です。ママの様子が「なんだかいつもと違うな」と少しでも感じたら、産後うつを疑ってみてください。例えば、話がうまくかみ合わない、部屋が荒れている、赤ちゃんのおむつが替えられていない、などです。ママの小さな変化にいち早く気付き、早期治療につなげることが大切です。

そして、いつも以上に疲れている様子であれば、子どもと離れる時間を作ってあげたり、十分に寝る時間を確保してあげたりしてください。半日でも、1日でも構いません。産後もママたちは子育てに一生懸命で、眠る時間もないことを当たり前にしてしまいがちですが、慢性的な睡眠不足は産後うつの入り口です。とにかく寝てもらうこと。これを心がけるだけでもいいでしょう。

産後うつにならないためにはどんな心持ちが大事でしょうか?

行動面でのリフレッシュも大事ですが、一番は「子育てに理想を求めない」ことです。昨今はSNSなどのツールを使えば、誰でも手軽に子育ての情報に触れることができるようになりました。教育のノウハウや子どもとの日常を発信しているアカウントもたくさん目にするでしょう。その様子が理想的に見える瞬間もあるかもしれませんが、いい瞬間だけを切り取った情報をうのみにしないことです。実際はどのご家庭も子育ての現場は戦場です。もめ事もたくさんあるでしょう。

また、子育てに正解はありません。泣きじゃくる子もいれば、よく眠る子もいます。理想を追い求めるのではなく、目の前の我が子にあなたらしく向き合ってあげることが大切なのではないでしょうか。それでも、自分の力だけではどうしようもないときは、早めに周囲に助けを求めること。パートナーやご家庭でもいいですし、医療機関を気軽に受診していいのです。産婦人科は、妊娠・出産時だけに行く場所ではありません。ネットで信ぴょう性の低い情報を得るよりは、ぜひかかりつけの先生に気軽に相談してみてくださいね。