産後うつは、こうして防ごう! 1
Q1 「産後うつ」はどのような病気ですか?
A 気分の落ち込み育児を楽しめない状態が続きます。
「気分が落ち込む」「育児が楽しめない」「食欲がない」「授乳以外でも目が覚める」――。
出産後2週間から数カ月の間に、このような症状が続いたら、「産後うつ」かもしれません。 産後は、女性の生涯の中で、うつ病を発症しやすい時期で、10人に1人が、「産後うつ」を発症しています。赤ちゃんが生まれてうれしいはずなのに、何をやっても楽しくない、自分が母親失格だと思い込んだり、突然理由もなく不安になったり泣き出す人もいます。
原因は、妊娠・出産によるホルモンの変化、環境の変化、思い描いていたのとは異なる出産や育児への戸惑い、周囲のサポートが得られないなど、さまざまな要因が複合的に絡み合っていると考えられます。 実は、産後うつになった人の3~5割は、妊娠中からうつ病を発症していることがわかっています。そのため、最近は「周産期うつ」と呼ぶことも多くなっています。具体的な診断は、一般的なうつ病と同じですが、妊娠中や産後に、左のチェックシートに当てはまる場合は「周産期うつ」「産後うつ」と診断される可能性があります。
Anetis 2016秋号妊娠なんでも相談室より
※こちらは2016.9.28時点の情報/記事になります
■ 回答者■
【東北大学病院精神科院内講師 菊地 紗耶(きくちさや)さん】
2002年新潟大学医学部卒業。宮城県立精神医療センターなどを経て、07年より東北大学 病院精神科勤務。08年より「周産期メンタルケア外来」を担当。日本周産期メンタルヘ ルス学会評議員。
【東北大学病院周産母子センター准教授 西郡 秀和(にしごおり ひでかず)さん】
1993年群馬大学医学部卒業。カナダのウェスタン・オンタリオ大学産婦人科留学、岩手 医科大学講師などを経て、2011年に東北大学講師、14年より現職。日本産科婦人科学会 幹事、日本周産期メンタルヘルス学会理事。