「おなかが張る」って、どういう状態? 3


Q3 対処法を教えてください。

A まずは安静を心がけて入院治療が必要なことも


自宅や職場、外出先などで張りを自覚したときは「楽な姿勢で座って休む」「横になって休む」などの対処をしましょう。しばらく安静にして張りの自覚が遠のけば、まずは心配はありません。持続する場合には、受信をおすすめします。
産婦人科で切迫早産と診断された場合は、入院治療が必要となることがあります。最重症例は、母体の発熱を伴う「臨床的絨毛膜羊膜炎」(子宮内感染)と診断されあ場合ですが、この際には原則として娩出(早産)の方針となります(赤ちゃんへの感染のリスクを減少させるため)。
この臨床的絨毛膜羊膜炎が検査などで否定されれば、「子宮収縮抑制剤」という薬の投与によって、妊娠期間の延長に努めます。早期に分娩が予測された場合には、赤ちゃんの肺成熟を目的として母体へ「ステロイド剤」を2日間、筋肉注射します。
こうした治療により、赤ちゃんの未熟性を可能な限り克服するという大きな長所がある半面、長期入院となった場合は精神的ストレス・体力低下によって育児に支障を来す可能性があること、薬の副作用のリスクや、多くの医療費がかかる点など、さまざまな問題点もあります。
切迫早産で入院中に不安を感じたり心配なことがあったりしたら、なんでも遠慮なくスタッフに相談してください。

Anetis(アネティス) 2016春号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2016年2月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【富山大学産婦人科 講師・医局長 米田 哲(よねだ さとし)さん】

1996年富山医科薬科大学(現:富山大学)医学部卒業。同産科産婦人科学教室へ入局。
東京の愛育病院(産科学)、鹿児島市立病院(新生児学)で研修を積み、周産期専門医取得。
「小さな命」を守るためにやるべき仕事に精通。