産後の心を健やかに2
Q2 産後うつ病は、なぜ起こるのですか?
A さまざまな要因が重なりあって発症します
産後うつ病はなぜ起こるのか、はっきりとした原因はわかっていませんが、感情をコントロールする脳の神経伝達物質や遺伝、ホルモンの変化、環境などが関わっているといわれています。
産後は頻回な授乳で睡眠不足になったり、慣れない育児に手間取ったりして、疲労が蓄積しやすくなります。また、母乳が足りているかどうかを過剰に心配してしまい、赤ちゃんが泣くたびに責められているよう気持ちになる人もいます。思い描いていたような分娩ができずに、お産の経験がトラウマになり、赤ちゃんがかわいく思えなくなったり、育児不安が強くなったりすることもあります。
里帰り分娩で手厚いサポートやアドバイスを受けていた人が自宅に戻った直後は、特に注意が必要です。一人で家事・育児を担う生活が始まり、頼りの夫は仕事で帰宅が遅い、といった場合、置き去りにされたような孤独感に襲われてしまうのです。
このような、産後うつ病は複合的な要因によって起こり、だれもがかかる可能性があります。また、最近は約半数が妊娠前や妊娠中からすでに発症していると考えられています。こうしたケースでは、産後、さらに症状が悪化して重症化しやすいといわれています。
Anetis(アネティス) 2015−16冬号 妊娠なんでも相談室より
※こちらは2015年11月時点の情報/記事になります
■ 回答者■
【葛飾赤十字産院 副院長 鈴木 俊治(すずき しゅんじ)さん】
1988年に長崎大学医学部卒業。日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣を経て米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後に日本医科大学産科婦人科学講師、同助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て2006年より現職。