育児を楽しんで、子育てパパが当たり前になる社会へ


パパが主体的にかかわれば育児はもっとハッピーに。古い価値観にとらわれず、より良い子育てのスタイルを構築するためのメソッドを、前回に引き続きファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也さんに聞きました。

研究データで納得させるパパの育児効果

前回、「家事育児はママの役割」という古い価値観を捨ててパパの意識改革をするために、自治体で実施している両親学級や私たちNPOのセミナーなどを活用してみては、というお話をしました。そこで今回は、実際にセミナーの中でどのような点にパパたちがはっとするのか、意識を変えるポイントをいくつかピックアップしてご紹介しようと思います。

まず、パパの育児が生み出す効果について、明確なエビデンスを示すことが重要です。専門家、研究者の調査結果や公的機関のデータなどを使って正しい情報を共有し、メリットが統計的に裏付けられていることを伝えます。例えば、パパの積極的な育児が子供の成長にどう影響を与えるか、国内外の研究チームが様々な分析を行っており、子どもの自尊心の高まりや社会性の向上などの傾向が、調査結果により明らかになっています。

自分の育児が子どもの精神的基盤になる。子どもが幸せな人生を送るための能力獲得につながる。それを自分の中で納得できれば、パパが意識と行動を変える大きなきっかけになります。

万能マニュアルなし!自分なりの応用を

セミナーでは三つの「カン」の流れを通してパパに主体的な育児のアドバイスをしています。まずは「危機感」ですね。育児の主体はママだという古い価値観のままでは、ママの産後うつや、育児を義務としかとらえられないことで生じるパパのメンタルヘルス不調、そして離婚危機など多くの現実的なリスクが考えられます。自分にも起こり得ることとして危機感を持つことからスタートするのです。

次に体験してもらうのが、子どもとのコミュニケーションによる「快感」。遊びや絵本の読み聞かせ、子どもが少し大きくなれば一緒に料理をするなど、パパと接する機会を設けることで子どもは喜びます。それがパパにとって快感になるわけです。もちろん子どもと遊ぶことが得意な人ばかりでなく苦手意識があって戸惑ったり、「できない」と思いこんでしまっていたり、最初からうまくできるパパばかりではありません。型にはめて他の人と同じことをする必要はないのです。

以前、絵本の読み聞かせについて相談してくれたパパがいました。自身が本を読むことがあまり好きではないせいか、絵本を読んであげることに積極的になれないのだと言います。私はそのパパに何が好きなのか、趣味や得意なことについて質問しました。すると、車が好きで詳しいということで、絵本でなくとも全く構わないから、車のキレイな写真が載っているカタログでも一緒に見ながら車の話をしてあげたらいいとアドバイスしました。パパは「それでいいんですか?」と驚いたようでしたが、実際にやってみると子どもは喜んでくれて、自分も楽しめて大成功だったそうです。どんな手法も全員にピタリとはまるものはなく、自分なりのやり方で楽しむことが大切ですね。

そして「快感」の体験によって「価値観」が変わります。私たちのセミナーでは、だいたい2ヵ月で3回ほどの「快感」を積み重ね、パパたちが主体的に育児を楽しんでみよう、という意識を持てるようになります。危機感→快感→価値観の流れで意識改革が実現し、行動も変容します。仕事ばかりの生活から脱却し、パパ友との交流や地域コミュニティーへの参加、社会活動への関心の高まりなどを経て、パパ自身の世界も広がっていくのです。

パパの意識改革はきっと社会を変えていく

ワーキングファザーという言葉はないのに、ワーキングマザーという言葉は使われたことがあります。今ではほとんど使われなくなったのは、それが当たり前になったからです。同様に、「イクメン」という言葉がなくなる日を私たちは待ち望んでいます。

パパが変わることで、家庭が変わり地域が変わり社会が変わっていく。育児を楽しめるパパが増えていけば、将来的に会社でもその部下たちは今よりもずっと育児がしやすい環境に恵まれるでしょう。さらにパパの育児が当然の過程で育った子どもたちが社会を担う未来に。そうやって社会を変えていくことができると私は信じています。

育児はパパにとっても期間限定の貴重な機会です。後からもう一度、と再トライすることはできません。親の笑顔を見て育つ子どもを増やせるように、かけがえのない育児ライフを満喫しましょう。

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