産後の回復と2人目妊娠2


Q2 産褥期に起きやすいトラブルは?

A 心と体に大きな変化 早めの相談が大切


産後に最も多いのは、やはり授乳のトラブルです。「母乳が足りているか心配」「乳房が赤く腫れて痛む」など気になることがあったら、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。最近は、多くの産院が助産師外来、母乳外来を設けて授乳相談や母乳マッサージなどを行っています。
妊娠・出産でゆるんだ骨盤や骨盤底筋(子宮や膀胱、直腸など骨盤内の臓器を支える筋肉)が元に戻るまでは、尿漏れや痔もよく起こります。重いものを持ち上げたりすると、子宮が下がって膣から脱出する「子宮脱」や直腸が肛門から出てくる「脱肛」になることも。膣や肛門に違和感があるときは早めに産婦人科を受診しましょう。予防・改善には骨盤ベルトの着用や体操(下図)が有効です。産褥期から数カ月間は「気分が沈んで憂うつになる」「物事に興味がわかず楽しめない」といった抑うつ症状があらわれやすく、2週間以上続いた場合は「産後うつ」かもしれません。一般に、産後うつを発症する割合は10人に1人といわれます。適切な処置を受ければ必ず回復しますので、つらいときには我慢せず相談するようにしてください。

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Anetis(アネティス) 2018夏号 教えて!ドクター妊娠なんでも相談室より

※こちらは2018年5月時点の情報/記事になります


■ 回答者■

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【福田病院 病院長 河上 祥一(かわかみ しょういち)さん】

琉球大学医学部卒業。熊本大学医学部付属病院、九州厚生年金病院、水俣市立総合医療センター、飯塚病院などを経て2000年より医療法人社団愛育会福田病院(熊本市)に勤務し、06年1月から現職。専門は周産期、漢方。同病院はハイリスク分娩に対応する地域周産期母子医療センターに指定されており、年間出生数は3770人(17年実績)にのぼる。