手厚いスタッフ体制と情報公開で 「無痛分娩」をより安心・安全に 2
自然な陣痛を待つ方法と 予定を決める方法がある
「確かに無痛分娩では、麻酔によるトラブルが起きることがあります。でも、すぐに対処すれば重大な事態は避けられます。当院では、麻酔科専門医が1時間体制で無痛分娩の麻酔に対応しています。また、マンツーマンで助産師がついて、産婦さんの全身状態、血圧、心電図、胎児の心拍数パターンなどを観察しています。さらに、産婦人科医は麻酔科専門医や助産師とコミュニケーションをとって、分娩管理を行います」と澤田先生は話します。
ただ、麻酔科医は全国的に不足しているため、24時間体制で無痛分娩が受けられる医療機関は限られます。そのため、分娩の日取りを前もって決め、子宮収縮(分娩促進)薬を使って、計画的に誘発無痛分娩(計画分娩)を行う施設が多いのが実情です。足立病院では希望者には計画分娩を行いますが、一般的には、夜間や休日でも、自然陣痛が始まって子宮口がある程度開いた時点で、硬膜外麻酔を開始します。
なお、無痛分娩では、一般の分娩費用に加えて、麻酔管理料が5~20万円かかるので費用面も確認しましょう。ちなみに、足立病院ではその費用は薬剤費などを含めて、約10万円程度となっています。
疑問・不安は遠慮なく確認 納得できる分娩施設選びを
「無痛分娩を検討する際には、24時間体制なのか、産婦人科医が複数いるのか、分娩の体制、緊急時の対応などを確認することが重要です。わからないことや不安な点は医師や助産師に遠慮なく確認し、家族でよく話し合って、無痛分娩を受けるかどうか選択しましょう」と澤田先生はアドバイスします。
足立病院では、無痛分娩の説明会を定期的に開催しています。近くの分娩施設でそういった機会があれば参加し、メリット、デメリットを理解し、納得して選ぶことが大切です。
■無痛分娩実施医療機関が探せるサイト
無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)
「全国無痛分娩施設検索」
https://www.jalasite.org/area/
各施設からの情報提供に基づいて掲載。分娩の体制や緊急時の対応などについては各施設に直接、問い合わせを。同サイトに掲載されていない無痛分娩実施施設もある。
Anetis(アネティス) 2019-20冬号 [いのちとくらしのFrontline]より
※こちらは2019年11月時点の情報/記事になります
■ お話をうかがった先生■
足立病院院長
澤田守男先生
1996年京都府立医科大 学卒業。国立がんセンター中央病院婦人科医員、京都府立医科大学大学院女性生涯医科学学内講師などを経て、2019年1月より足立病院産婦人科部長。同年4月より現職。専門は、産婦人科一般、婦人科腫瘍、女性医学。安全なお産の体制づくり 強化に力を入れる。