気をつけよう!妊娠糖尿病と妊娠高血圧症候群2


Q1 治療法や産後の注意点を教えて!

A 治療は食事療法が中心 血糖値は一定のレベルに


妊娠糖尿病の治療は、食事療法が中心です。血糖値を定期的に測定しながら、80〜120mg/dlぐらいにキープできるよう食事のカロリーを抑えたり、少量ずつ頻回に取ったりして、食後血糖値の上がり過ぎや、空腹時の下がり過ぎを防ぎます。食事療法で十分に管理できないときは、インスリン注射を行います。内服薬は胎児への安全性が確認されていないため使用しません。
 最近は低糖質ダイエットがはやっていますが、お母さんが低血糖になると赤ちゃんの脳の発育が悪くなる可能性があり、おすすめできません。とくに妊娠後半の血糖値の下がり過ぎは危険ですので注意が必要です。
 分娩は帝王切開率が3〜4割と全体の平均(2割程度)よりはやや高いものの、母体肥満や巨大児などのケースを除き、帝王切開を積極的に選択することはありません。重い糖尿病の場合は術後の感染症のリスクが高く、傷口も治りにくくなるため、可能な限り経膣分娩を目指します。
 産後は一旦、症状が治りますが、将来、糖尿病になりやすく、日本人に多い2型糖尿病の女性患者の約半数が妊娠糖尿病を経験していたという報告もあります。妊娠中に指導された食事管理を産後も続けると、リスクを半分にできるといわれています。

Anetis(アネティス) 2017秋号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2017年9月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【葛飾赤十字産院 副院長 鈴木 俊治(すずき しゅんじ)さん】

1988年に長崎大学医学部卒業。日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣を経て米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後に日本医科大学産科婦人科学講師、同助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て2006年より現職。