賢く使おう!漢方&サプリの基礎知識4


Q4 漢方薬やサプリの上手な使い方は?

A 取り過ぎが問題になる 生薬や栄養素に要注意


東洋医学の先人たちは、数千年という長い年月をかけてさまざまな生薬の組み合わせを試し、一人ひとりの微妙な症状の違いに対応できる漢方処方の数々を生み出してきました。例えば、同じ腹痛でもおなかが張るタイプなら「大建中湯」、便意に似た痛みが繰り返し起こる”しぶり腹”には「桂枝加芍薬湯」、キリキリと差し込むような痛みには「芍薬甘草湯」が適しています。
 また、漢方薬は「色白で体力がない(虚証)」「普通の体力がある(中間証)」「筋肉質で気力・体力が充実している(実証)」など、飲む人の体質によっても効き方が変わります。病院で処方される場合は、医師が最適な薬を選んでくれますが、市販の漢方薬を利用するときは説明をよく読み、自分の症状と体質にぴったり合ったものを選ぶようにしましょう。
 漢方というと「長期間服用するうち、じわじわ効いてくる」と思われがちですが、「葛根湯」や「芍薬甘草湯」のように、即効性が期待できる切れ味のよい薬もあります。
 副作用は比較的少ないものの注意してほしいのが、約7割の漢方薬に含まれる主薬成分「甘草」の取り過ぎです。複数の漢方薬を利用する場合、飲み合わせによっては過剰摂取となり、むくみや血圧上昇、筋力低下などを引き起こすことがあります。
 一方、サプリメントにも、取り過ぎが問題になる栄養素があります。ビタミンAは皮膚や目の健康に欠かせない必須ビタミンですが、妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんが奇形になるリスクが高まります。普通の食事で取り過ぎになることはあまりありませんが、妊娠中はビタミンAを含むサプリメントの利用を控えるようにしてください。

Anetis(アネティス) 2017秋号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2017年9月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【名古屋大学医学部附属病院 産婦人科 准教授 梶山 広明(かじやま ひろあき)さん】

日本産科婦人科学会専門医、日本婦人科腫瘍学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。大学病院では主に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなど婦人科腫瘍を専門としており、がん治療における妊孕性温存(妊娠・出産の可能性を残すこと)にも力を入れている。趣味は古墳・街道めぐり、植物の種の収集、地形マニア。好物はラーメン。