おうち漢方


妊娠中のさまざまな不調。薬を処方してもらうほどではないけれど、少しでもやわらげたい…。そんな時こそ、“おうち漢方”。漢方の考え方に基づいた、自宅で手軽にできるケアをご紹介します。

脚のむくみがとれません…。なんだか指輪もキツイです。

体の「水」の巡りを良くするために、できることから始めましょう。

妊娠中によくある「むくみ」。「水」の流れが原因です。

「漢方医学では、体がむくむことを『水毒(水滞)』といいます。全身を巡る『気(き)』『血(けつ)』『水(すい)』の中でも『水(すい)』の流れが滞っているということ。漢方薬の処方を希望する方には、利水剤(水をさばく生薬)をご案内することもあります。ただし、妊娠後期にかけて起きる多少のむくみは、正常な体の変化です。お母さんの体は、赤ちゃんに十分な酸素や栄養が行き届くように、子宮や胎盤の血流を増やしています。体の水分量の増加は、この血流の変化によるものです。むくみは、赤ちゃんにしっかり栄養を届けるために、お母さんの体が頑張っている証拠でもあるのです」(寺内公一先生)

おうち漢方「食べ方」

普段の食事で、巡りを改善。

「水」の巡りを良くする食材は、小豆や黒豆などの豆類、スイカ、キュウリや冬瓜などの瓜類、アオサやワカメ、昆布などの海藻類。普段の食事に意識的に取り入れてみましょう。また、むくむからといって水分を控えるのは逆効果。むくみが気になった時こそ、十分な水分摂取を心掛けて自然な排出を促しましょう。

おうち漢方「暮らし方」

冷えは「むくみ」にも大敵。

体が冷えると、血流とともにリンパの流れも悪くなるため、体がむくみやすい状態に。体を冷やさないように薄着を控えて、保温性の高い下着や、貼るタイプのカイロ、湯たんぽなどを上手に活用しましょう。

重たい脚は、高く上げて。

脚がむくんだ時に真っ先に思い付くこの方法、妊娠中も有効です。心臓より高く上げることで、血流やリンパの流れを良くします。同じ体勢をとるのがつらい時は無理をしないで。

頼れるアイテム、着圧タイツ。

脚のむくみを改善してくれる着圧タイツは、妊娠中も頼れるアイテムです。

漢方薬なら

妊娠中もOK

五苓散(ごれいさん)
「水滞」を改善する代表的な漢方薬。口の渇きや尿意の減少、むくみ、頭痛、下痢など適応症の幅が広く、子供や妊婦にも広く処方されています。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
水分代謝が悪くむくみがちな方、汗をかきやすく疲れやすい方、水太りしやすい方によく処方される。水はけを良くする作用のある漢方薬。

柴苓湯(さいれいとう)
抗炎症作用の「小紫胡湯」と利水作用の「五苓散」を合わせた薬。むくみの他、吐き気、食欲不振、喉の乾き、水溶性の下痢、暑気あたりに。

妊娠中はNG

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
子宮収縮作用があるとされる大黄と芒硝が含まれています。

六味丸(ろくみがん)
流産や早産の危険性があるとされる牡丹皮が含まれています。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
流産や早産の危険性があるとされる牛膝、牡丹皮が含まれています。

※妊娠中に漢方薬を服用する際は、必ずかかりつけ産婦人科医にご相談ください。