妊娠・出産・産後のQ&A


妊娠から出産、産後の育児まで、不安や疑問はたくさん。 巻頭特集に続き、足立病院院長の澤田守男先生に妊婦さんのお悩みにお答えいただきます。

妊娠中の体の変化について

Q:妊娠8カ月に入り、足のつりが酷くなってきました……

A:適度な運動やマッサージ、カルシウムやビタミンD を取りましょう

妊娠週数が進むと、足がつること(こむら返り)が確かに増えますね。妊娠中は運動不足になりがちで、足の筋肉への血流が減少することも影響していると言われています。また、おなかが大きくなることで、妊婦さんの体の重心が移動することになり、足への負担が増して筋肉痛を引き起こしやすくなります。さらに、妊婦さんは、カルシウムやビタミンDの摂取量が不足していることが指摘されており、これも一因と考えられます。よって、足の血流を改善するために、適度な運動やマッサージ、不足する栄養素の接種などを心がけることが大切でしょう。

育児について

Q:第二子が年子で、出産後に上の子が拗ねないか心配です

A:年子の場合、避けては通れませんよね。「お兄ちゃん(お姉ちゃん)、さみしい思いさせてごめんなさいね」と言って、ぎゅっと抱きしめてあげる時間を作ってあげてください。自分の存在を認められるということがとても大切です。

授乳について

Q:1歳1カ月ですが、まだ授乳をしています。1歳以降も母乳を与えた場合のメリットを教えてください

A:メリットはたくさん。卒乳は焦らなくても大丈夫

授乳期間に関しては、あまり焦る必要はないと思います。実際、WHO では少なくとも2年間の授乳を勧めています。母乳は、栄養や免疫上のメリットだけではなく、赤ちゃんに安心感を与えることが出来ます。また、お母さんにとっても、急な断乳は心身ともにストレスとなる可能性があります。自然と「卒乳」に至るのが、赤ちゃんとお母さんの両方にとって有益でしょう。

分娩について

Q:1度目の出産が帝王切開の場合、2回目も帝王切開になるんでしょうか?

A:いいえ。分娩施設の規模や能力によって異なります

前回の出産時に帝王切開されている場合、次の出産で経腟分娩を選択可能かどうかは、出産を予定の施設でご相談いただくのが良いでしょう。「帝王切開既往妊婦に対し経腟分娩を試行すること」は、子宮破裂や母体と新生児死亡のリスクを有することもあって、緊急時の対応が出来る施設に限られているのが現状です。前回の帝王切開の手術内容など、慎重な検討が大切です。かかりつけの産婦人科医師に相談してみてください。

Q:2人目の出産時に、小学生になったばかりの上の子を立ち会わせようと思っていますが、痛がっている姿や、血を見てショックを受けないかと心配です。子供が立ち会うことについて、どう思いますか?もし立ち会う場合、私はフォローする余裕がないと思うので、パパから上の子へはどんな声掛けやフォローをしたらいいでしょうか?

A:生命の誕生に立ち会うことは、子供にとって非常に貴重な体験。パパにしかできない声掛けをたくさんしましょう 。

もちろん、お子さんの性格や体調も考慮した上で、無理がない範囲での立ち会いにされてはいかがでしょうか。血液が飛び散るさまを見せる必要はないと思いますし、誕生したばかりのご兄弟に触れ合うことを中心にしてみては。個人的な話になりますが、私の長女が小学生の時に、次女の帝王切開術による誕生に立ち会いました。長女は気分が悪くなってしまって、看護師さんに介抱していただきましたが、今でも強い印象が残っているようです。医療の道に進むことになったのも、もしかするとこの体験があったからかも(笑)。そして、こういう場面こそ、パパの役割が大切ですね! ママに代わって、上のお子さんをサポートすることが可能か、腕の見せどころです。「ママが頑張ってくれたね」、「赤ちゃん、かわいいね」、「君もこうやって産まれたんだよ」、「兄妹が出来たね」など、パパにしかできない声掛けをしてサポートをしてあげて欲しいです。

メンタルについて

Q:来月出産予定です。出産後にホルモンバランスの変化で気分が沈むことが多いと聞きます。乗り越え方を教えて欲しいです

A:頑張り過ぎず、しっかり休息をとることが大切

妊娠~出産と、ママは全力で頑張っています。心身とも大きな負荷のかかる時期、肩の力を抜いてやり過ごしたいですよね。産後3日以内に起きる、悲しさや焦るような気持ちは、「マタニティブルーズ」と呼ばれ、多くのママたちが体験することになります。これは、約2週間以内に自然と治っていくもので、あまり心配いりません。ホルモンの急激な変動が一因とされています。また、赤ちゃんの世話をする気力をなくしたり、子育ての自信をなくしたりと、ネガティブな感情が現れたりして、食事や睡眠が十分にとれない状態が数週間~数か月続くような状況に陥ることがあります。そんな時は、しっかり休息することが重要です。みなさん知らないうちに頑張り過ぎていますね。「みんな子育て初心者、完ぺきにこなせなくて当たり前!」、「変化を楽しみましょう!子どもは日々成長し、状況は刻々と変わっていきます」、「子育てはみんなでするもの、パパやまわりにどんどん頼っていきましょう」、こんな感じで肩の力抜いて、が良いと思いますよ。