知っておきたい!ホルモン補充療法(HRT)について1


Q1 何のために行うのですか?

A 更年期の不快症状を改善 将来の病気予防も


 ホルモン補充療法(HRT※)は、その名のとおり、体内で足りなくなったホルモンを外から補う治療法です。ホルモンとは女性ホルモン、特にエストロゲン(卵胞ホルモン)を指し、性成熟期(20〜30代)の女性の卵巣からは盛んに分泌されていますが、卵巣が老化する40代半ばぐらいから急激に減少します。日本人女性の閉経年齢は平均すると51歳で、その頃はまだ少し分泌があるものの、やがてほとんどなくなってしまいます。エストロゲン量が急降下するこの時期、閉経をはさむ約10年間を更年期と呼び、心身にさまざまな不調が起こりやすくなります。
 代表的なのはホットフラッシュ(冷えのぼせ)、発汗などの自律神経症状ですが、エストロゲンが作用する場所は全身に分布しているのため、他にもさまざまな不快症状があらわれます(下図参照)。また、エストロゲン不足は骨密度の低下や悪玉(LDL)コレステロールの増加をまねき、将来の骨粗しょう症や動脈硬化の発症にも関与しています。HRTによるエストロゲンの補充には、「更年期障害の治療」と、「更年期の疾病予防」という2つの効果が期待できるのです。
 不眠や関節痛などはどの年代でも起こる不調ですから、更年期の症状とは気づきにくいかもしれませんが、月経周期が乱れ始めていたら、更年期の始まりのサインです。つらい症状は我慢せずに、産婦人科を受診してみてください。
 

Anetis(アネティス) 2017冬号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2017年12月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【京都府立医科大学 産婦人科学教室 教授/附属病院長 北脇 城(きたわき じょう)さん】

1981年京都府立医科大学卒業。米国バッファロー医学財団研究所留学、社会保険京都病院産婦人科部長等を経て2008年より現職。専門は生殖内分泌学、子宮内膜症、不妊症、女性のヘルスケア、腹腔(ふくくう)鏡下手術など。オフタイムにはドラムス奏者としてステージに立つ。