産後の回復は二人の共同作業。ママの心身を休めるサポートを


産褥期を迎える共働きのパパ・ママへ


産褥期は体を元に戻す大切な期間

出産という大きな仕事を終えた後、妊娠によって変化してきた女性の体は、日一日と元の状態に戻っていきます。その為の期間が産褥期です。たとえば、子宮は産後1~3日はまだ赤ちゃんの頭ぐらいもあり、骨盤も開いたままの状態です。産後は子宮の収縮とともに、悪露という血の混じった分泌物の排出があり、次第に少なくなりながら4週間ほど続きます。子宮や骨盤のゆるみ、分泌物などが妊娠前の状態に戻るには、個人差はありますが、6~8週間かかるのが普通です。

そこで、産褥期は出来るだけよく睡眠や休息を取り、水仕事で体を冷やしたり重い物を持ったりせず、無理をしない生活を心がける必要があります。

働く女性は、産前6週間・産後8週間は「産休(産前・産後休業)」となります。特に、母体を保護するために産後8週間は、労働基準法により原則就労できない期間となっているのです。

一方、赤ちゃんは生後1ヵ月を過ぎるまでは日夜の区別もなく、2~3時間おきの授乳と頻繁なおむつ替えが必要な時期。よく寝る時もあれば、パワフルに泣く赤ちゃんもいて、それぞれ個性があります。

そんな赤ちゃんのお世話をしながら、ママの体も大切にして産褥期をうまく乗り切るには、周囲の協力がかかせません。

共働きの夫婦なら、家事を共同でこなすための役割分担についてこれまでも話し合ってきたことだと思います。二人の大切な宝物である赤ちゃんを迎えたら、その分担をさらに工夫して、育児という共同作業に取り組みましょう。より積極的に関わることで、赤ちゃんはたくさんの愛を返してくれて家族の関係が濃密になっていきます。

「こうしてほしい」を夫婦でうまく伝え合って

では、産後のママは、パパや周囲の人に何をしてほしいものでしょうか。それはその人の体調や生活環境によっても違います。同じ産褥期でも、痛みの状態は少しずつ違います。一般に、帝王切開では経膣分娩より術後の痛みがつよく、回復には時間がかかるとされています。しかし、経膣分娩で会陰の傷が深くなり、痛みが続く場合もあります。また、2人目の出産では、1人目より子宮の戻りが強いために「後陣痛」がひどくなることもあります。「2回目だから楽なはず」ということはないのです。

ママの求めることもさまざまです。赤ちゃんの面倒を積極的に見てほしいと思うママもいるし、赤ちゃんのお世話は自分のやり方でしたいのでそれ以外の洗濯や食事作りは任せたいと思うママもいます。「とにかく話を聞いてほしい」という場合もあるでしょう。

そこで、パパの子育てへの関わり方についても「こうすればよい」とマニュアル的に考えるのではなく、まず「何をしてほしいのか」を聞いてみてください。そして、「自分にできること」「”こうなりたい”という家族のイメージ」も伝えましょう。

出産は何かしら予想外のことが起きるもの。出産の前に決めておいた役割分担などは、その通りに進まないことがほとんどです。その都度、お互いに「こうしたい」「こうしてほしい」と思いを伝え合い、プランを修正しながら、我が家流の子育て法を見つけていきましょう。

上手に人の手を借りながら共働き子育てプランを

コロナ下での妊娠出産は、健診にも入院にも分娩にもパパや家族が立ち会えない状態が続いてきました。自治体のパパママ教室(両親学級)も中止され、子育てのイメージトレーニングができないまま出産を迎えたご夫婦も多いと思います。

実家などへの里帰り出産もできないと、より不安は大きいはず。そんなときこそ大切なことは、パパもママも一人で抱え込まないことです。夫婦二人で乗り越えなくてはと頑張らず、利用できるサービスや地域のサポート制度なども探してみてください。

例えば、助産師や看護師など新生児ケアのプロが産褥期のママを支えてくれる「産後ケア」は、従来は医療施設で行う宿泊型で費用も高額でした。現在はデイケアや自宅訪問型もあり、利用料の一部助成を行う自治体も増えています。また、栄養バランスを考えた食事や食材の宅配、お掃除サービスを利用するのもいいでしょう。

1カ月健診を過ぎるころには、復職に向けて保育所探しや育児休業の最終的な調整など夫婦で考えることも多くなります。働くパパ・ママの生活は忙しく、自分の時間もなかなか持てませんが、親子ともに成長できるチャンスです。制度や人の手も活用し、夫婦で助け合っていきましょう。