「遺伝性のがん」とは、どんな病気?3


Q3 どんな検査で調べられますか?

A 血液検査で遺伝子を確認 事前にカウンセリングを


遺伝性乳癌卵巣癌の発症には、「BRCA1」「BRCA2」という遺伝子の異常が深く関わっています。また、リンチ症候群は、DNA修復遺伝子という一群に生まれつき異常がある状態です。遺伝子の異常は、性別を問わず50%の確率で親から子に受け継がれます。
 これらの遺伝子に異常があるかどうかは、血液検査で調べられます。ただし、遺伝子検査の結果は、自分だけではなく家族の人生にも関わる問題です。遺伝性のがんが心配な人は、まず専門医による「遺伝カウンセリング」を受けることをおすすめします。カウンセリングや調査を受けられる病院は、インターネットで検査できます(下記参照)。
 遺伝性乳癌卵巣癌の遺伝子検査には健康保険が使えないので、20万〜25万円の費用がかかります。血縁者の中にBRCA1かBRCA2の異常がある人がいる場合は約5万円です。がんになった人が、がん細胞を分析してリンチ症候群かどうかを調べられる検査もあります。こちらは保険適用になるため、3割負担の人で費用は6千円です。

Anetis(アネティス) 2015 秋号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2015年8月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【熊本大学大学院生命科学研究部 産科婦人科学分野教授 片渕 秀隆(かたぶち ひでたか)さん】

1982年熊本大学医学部卒業。ジェンズ・ホプキンス大学医学部病理学講座研究員、熊本大学医学部講師、同助教授などを経て、2004年より同大大学院医学薬学研究部教授、10年の組織改編により現職。日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会委員長、日本癌治療学会理事、日本癌学会評議員、日本婦人科腫瘍学会常務理事、日本婦人科がん検診学会副理事長など。