知っておきたい!「里帰り出産」について3


Q3 帰省の際に気を付け流ことは?

A 乗り物では血栓症に注意 移動できないことも想定


帰省のために飛行機や車などを利用する人も多いと思いますが、その際に注意が必要のは「血栓症」です。「旅行者血栓症」「エコノミークラス症候群」「ロングフライト症候群」などとも呼ばれ、長時間、下肢を動かさずに座っていると、脚部の奥にある静脈に血の塊(深部静脈血栓)ができることがまれにあります。
 妊娠中や産褥期(産後の母体が回復するまでの時期)は妊娠していないときよりも血栓症が起こりやすいため、移動中は下肢を定期的に動かしたり、水分を適切に取ったりするようにしましょう。血栓症ができると下肢の腫脹(むくみ)や色調変化、痛みが起こります。血管から剥がれた血栓が肺に詰まると命にかかわることもあります。血栓症が起こった場合は、緊急の対応が必要です。
 ところで、妊婦さんが切迫早産や妊娠高血圧症になってしまった場合は、里帰り出産は困難になります。分娩を予定している施設が周産期センターのような高度な医療を行える施設である場合は、受け入れ可能かどうかを相談することはありますが、入院が必要になった場合は、移動は不可能と思ったほうがよいでしょう。そうした事態も起こり得ることを、想定しておいてください。
 その他、妊婦糖尿病も程度によっては生まれた赤ちゃんが新生児低血糖を起こすなどのリスクもあり、予定していた産院で出産できなくなる場合もあるため、確認が必要です。

Anetis(アネティス) 2016−17冬号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2016年11月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【荒木記念東京リバーサイド病院 産科・婦人科 医長 星 真一(ほし しんいち)さん】

1995年昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、昭和大学藤が丘病院、秦野赤十字病院、千葉西総合病院、総合守谷第一病院などの勤務を経て、現在東京都荒川区にある荒川記念東京リバーサイド病院(2016年10月より病院名変更)に勤務。一男一女のパパ。