病気ですか?不正出血の見分け方3


Q3 機能性子宮出血なら心配はないの?

A 基礎体温をつけて自己チェックしよう


周期的な月経のリズムは、2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)がバランスよく分泌されることで維持されています。何らかの原因で、この分泌バランスが乱れたために起こるのが、機能性子宮出血です。
 月経周期に連動して起こることが多く、例えば排卵の前に1日だけわずかに出血が見られる「排卵期出血」や、月経前の2〜3日間、少量の出血がある「黄体出血」は、機能性子宮出血に分類されます。基礎体温をつけていればそれとわかりますから、気になる人は記録をしてみましょう。どちらも生理的に起きるもので、病気の心配はありません。
 月経周期が正常範囲より短い(または長い)人の中には、排卵のない無排卵性月経を繰り返している人がいます。これも機能性子宮出血の一種で、甲状腺疾患や高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群などの病気が原因であるケースもあります。月経周期に異常があったり、基礎体温が低温相と高温相に分かれない(排卵がない)人は、一度、産婦人科で検査を受けるとよいでしょう。
 機能性子宮出血は、精神的なショックやストレス、睡眠不足、高熱、過度のダイエットなどによっても起こることがあります。また、更年期に見られる月経不順も、機能性の出血です。月経リズムは、心身の状態によって大きく影響を受けるものですし、更年期の場合は精神的な落ち込みや頭痛・肩こりなどさまざまな不快症状を伴います。つらいときには産婦人科を受診し、適切な治療を受けてください。

Anetis(アネティス) 2017夏号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2017年5月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【獨協医科大学付属越谷病院 産科婦人科 主任教授・診療部長 高倉 聡(たかくら さとし)さん】

1990年東京慈恵会医科大学卒業。同大学付属病院産婦人科診療医員、国立がんセンター(現・国立がん研究センター)研究所国内留学、東京慈恵会医科大学付属病院産婦人科診療医長等を経て現職。日本産科婦人科学会代議員、日本臨床細胞学会・日本婦人科腫瘍学会評議員。専門は婦人科腫瘍など。