「性差医療」って何ですか? 2


Q2 発症リスクに男女差がある病気は?

A 片頭痛や認知症にも性差。女性に大きい喫煙の影響


女性に多い病気は甲状腺の病気や膠原病などいろいろありますが、例えば片頭痛は、男性の3.6倍も女性に多い病気です。
若い女性の場合、女性ホルモンの分泌量が急激に減る月経前に頭痛を訴える人が多く、片頭痛の発症はホルモンの変動と大きく関わっています。また、女性の認知症の発症率は男性の2倍、骨粗しょう症は3倍多くなっています。
さらに注目すべきは、日々の生活習慣が健康に及ぼす影響にも、性差がある事です。がんは男性に多いのですが、喫煙、飲酒による影響(発症リスクの増大)は、女性のほうがうけやすいことが分かっています。
心筋梗塞の発症リスクについても、女性は男性以上に喫煙と糖尿病の影響を受けやすく、逆に高コレステロール血症の影響は少ないという報告があります。喫煙者のリスクは、非喫煙者に比べて男性が4倍なのに対し女性は8.2倍。糖尿病の人のリスクは、そうでない人に比べ男性が2.9倍、女性が6.1倍です。
糖尿病や高血圧、腎臓疾患など、妊娠をきっかけに発症したり、悪化したりする病気もあります。
薬については一般的に、女性のほうが男性より効きやすく、副作用が出やすい傾向があります。

Anetis(アネティス) 2016春号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2016年2月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【東京女子医科大学 産婦人科学講座講師 石谷 健(いしたに けん)さん】

1994年慶應義塾大学医学部卒業。国立病院機構東京医療センター産婦人科勤務後、ハーバード大学医学部に留学し婦人科がんの疫学研究に関わる。2014年より現職。専門は婦人科がんの治療、ホルモン補充療法、漢方療法など。