「低出生体重児」が増えている 4


Q4 どのように対策したらいいですか?

A 基本は健康でいること。体重管理はゆるやかに


具体的には「たばこを吸わない」「お酒を飲まない」「カフェインを取り過ぎない」「ストレスをためない」といったアドバイスになりますが、一言でいえっば「健康的な生活」です。妊婦さんの健康が、赤ちゃんの低体重を防ぐことにつながります。
一般的に、人間の体は高齢になるほど良い条件ではなくなりますが、出産のタイミングはそれぞれのカップルが人生計画の中で考えるべきことです。
キャリアプランなど社会的な環境も含め、カップルのライフスタイルが一番健康的な時に妊娠・出産してほしいと思います。
やせや低栄養は問題ですが、むやみに体重を増やしてもいけません。
産科では標準体重、やせ型、肥満型と妊婦さんの体系に応じた体重増加の目安を設けています。
ただし、それをあまり気にし過ぎてもストレスになりますから、ゆるやかな体重管理を心がけてください。
もしも赤ちゃんに入院が必要になったら、少し無理をしても顔を見に行く、母乳を搾って届けるなど、
触れ合いの機会をなるべく多く持つようにしましょう。
そうした努力が、親子の絆を深めてくれるはずです。

【耳寄りな話】
社会のサポートも必要
ママが健康でいるために不可欠なのがパートナーであるパパの協力。
ところが、パパにもママと同じくらい”産後うつ”にかかるリスクがあることが、
最近の研究でわかってきました。
核家族化が進む中、社会から孤立した環境で妊娠・出産・子育てに向き合うことは、
男性にとってもつらいことなのです。
若い家族を社会がどう支援していくか、真剣に考えなければいけない時代になっています。

 

Anetis 2016夏号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2016年6月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【国立成育医療研究センター 政策科学研究部長/臨床疫学部長 森 臨太郎(もり りんたろう)さん】

1955年岡山大学医学部卒業、同大学博士課程修了。新生児科医としてオーストラリア、イギリスの病院で勤務の後、世界保健機関テクニカルオフィサー、東京大学大学院国際保健政策学准教授、国際母子保健研究所所長等を経て2012年より現職。専門は成育保健、国際保健、周産期医学、疫学、政策など。厚生労働省の委託研究で低出生体重児の発症メカニズムや長期予後の解明に取り組む。