「低出生体重児」が増えている 2


Q2 なぜ、増えているのですか?

A 母子を取り巻く社会環境が急激に変化したからです


日本の赤ちゃんが小さく生まれるようになった主な原因は、1早産の増加(軽度を含めて)、
2妊婦さんのやせ過ぎと妊娠中の低栄養、3多胎妊娠(主に双子)の増加の三つです。
喫煙や飲酒も個人にとってはリスクになりますが、全体への影響は小さいと思います。

早産が増える理由は妊娠に関連した高血圧や、その他のさまざまなリスクがわかり対処することで、
ほんのちょっとだけ早めに産むということが増えたためと考えられます。
出産年齢の高齢化は先進国に共通の傾向ですが、妊婦さんのやせ過ぎと低栄養は、日本に特有の現象です。
以前、医療側により体重制限を厳しく指導してきたことや、妊婦さんがそれをまじめに守り過ぎていたことも一因のようですが、
若年女性のやせ傾向が大きく影響しています。
双子の赤ちゃんが増えているのは、生殖医療が発達して不妊治療を行うカップルが増えたためでしょう。
低体重の赤ちゃんが増えている要因には、母子を取り巻く社会・医療環境の変化が大きく関わっています。

 

Anetis 2016夏号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2016年6月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【国立成育医療研究センター 政策科学研究部長/臨床疫学部長 森 臨太郎(もり りんたろう)さん】

1955年岡山大学医学部卒業、同大学博士課程修了。新生児科医としてオーストラリア、イギリスの病院で勤務の後、世界保健機関テクニカルオフィサー、東京大学大学院国際保健政策学准教授、国際母子保健研究所所長等を経て2012年より現職。専門は成育保健、国際保健、周産期医学、疫学、政策など。厚生労働省の委託研究で低出生体重児の発症メカニズムや長期予後の解明に取り組む。