妊産婦さんのための「妊娠中・産後の食生活」教室2


妊娠中の食生活の注意点を教えて下さい。


—妊娠初期(※1)の食事・栄養のポイントを教えてください。

妊娠初期はつわりに苦しむママたちが多いです。症状も人それぞれ全く異なります。食べるのがつらいという方は、この時期は1回の食事の量を減らし、回数を増やすとよいでしょう。冷ましてにおいを抑えたり、酸っぱいものと一緒に食べたり、一工夫すると箸が進むこともあります。
またサプリメントもうまく活用してください。例えば妊娠前から産後を通じて積極的に取ってもらいたい栄養の一つである葉酸も、食品だけでなくサプリメントで補うことができます。た だしサプリメントも取り過ぎは禁物です。必要十分な量だ補うようにしてください。
この時期は「赤ちゃんのために食べなくちゃいけないのに」とあまり思い悩まずに、まずは食べられる分だけで構いません。
※1 妊娠初期…妊娠14週未満(4ヵ月中ごろまで)

—妊娠中期(※2)・後期(※3)はどんなことに気をつければよいですか?

つわりの症状が治まり、ある程度食べられるようになる中期・後期に気をつけてほしいのは、赤ちゃんの体をしっかり作るために必要なたんぱく質・糖質・ 脂質のバランスです。先にもお話ししたとおり、現代の食事は意識しないと高脂質になりがちです。外食やお菓子、油を多く使った冷凍食品などには特に注意が必要です。
妊娠中期には 1日あたり250キロカロリー分、後期には450キロカロリー分、妊娠前よりも多く
エネルギーが必要になります。体重増加を気にするあまり、エネルギー摂取量が不足してしまうことは避けましょう。昔は「妊婦さんはおなかに赤ちゃんがいるから、2人分食べなさい」などと言ったものですが、さすがにそれは取り過ぎです(笑い)。
また35歳以上で初産を迎える高齢出産の場合、特に中期・後期の食事や栄養に関して心配する方もいらっしゃるようです。確かに、高齢出産では妊娠高血圧症候群などのリスクが多少上が りますが、栄養バランスの良い食事が欠かせないという一番大切なポイントは変わりません。
※2 妊娠中期…妊娠14週から28週未満(4ヵ月中ごろから8ヵ月未満)
※3 妊娠後期…妊娠28週以降(8ヵ月以降)

—アプリ「Babyプラス」がママをサポートします。

いろいろとお伝えしていますが、読者のママの中にはきっと「自分の食事や栄養の知識がなさ過ぎて不安になってきた……」という方がいらっしゃるのではないでしょうか?そんな方に は日本産科婦人科学会が監修する妊娠・出産情報アプリ「Babyプラス」のご利用をおすすめします。
アプリの機能の一つに、妊産婦さんに積極的に取ってほしい栄養や、気をつけてほしい食べ物などを掲載した「食べ物リスト」があります。葉酸・カルシウム・ビタミンAなどがなぜ妊婦さんに必要なのか、またそれぞれの栄養がどの食品に多く含まれるかなどが詳しく載っています。「実は間違った知識を覚えていた!」ということもあるかもしれません。スマホがあれば気軽に閲覧できるので、ぜひ参考にしてみてください。

Anetis(アネティス) 2019-20冬号 [かかりつけの産婦人科医を一生のパートナーに]より

※こちらは2019年11月時点の情報/記事になります


■ お話をうかがった先生■


愛媛大学医学部
産科婦人科学 教授
杉山 隆 先生

2002年三重大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座助教授。12年東北大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座准教授。15年愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座教授、16年同大医学部附属病院周産母子センター長兼任。18年より同病院副院長兼任。