やせすぎ、肥満(太りすぎ)と女性の健康4


Q4 肥満でリスクが高まる婦人科疾患は?

A 乳がんや子宮体がんのリスクが高まります。


若い女性のやせすぎが心配されている一方で、中高年世代になると肥満が増えていきます。肥満は20代では10人に1人ですが、40〜50代は5人に1人、最も多い60代では24.2%と4人に1人にのぼります(図参照)。
なぜ、加齢とともに肥満が増えるのか。女性ホルモンのエストロゲンには「血糖をコントロールするインスリンの効果を高める」 「善玉(HDL)コレストロールを増やす」「悪玉(LDL)コレストロールを減らす」などの働きがあります。更年期(閉経をはさむ10年間、平均すると45〜55歳を指す)には卵巣の働きが徐々に弱くなり、エストロゲンの分泌量が減るため、太りやすくなるといわれています。
エストロゲンは脂肪細胞でも作られており、卵巣からの分泌がほとんどなくなる更年期以降は、脂肪が主な供給源になります。肥満の人は標準的な体重の人よりエストロゲン分泌が多くなり、その状態が長く続くと高エストロゲンでリスクが高くなる子宮体がんや卵巣がん、乳がんが増えると報告されています。
女性の体形は、妊娠・出産や女性ホルモンの働きと密接な関係があります。やせすぎも、太りすぎも体に負担がかかります。標準的な体重を維持して、健やかにしてほしいと思います。

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Anetis(アネティス) 2018春号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2018年3月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【淀川キリスト教病院 産婦人科、産婦人科専門医 柴田 綾子(しばた あやこ)さん】

世界遺産を訪ねる旅行中に母子健康の重要性を感じ産婦人科医師を志す。2011年群馬大学医学部卒業。沖縄にて初期研修を行い2013年より現職。共著に「女性の救急外来 ただいま診断中!」中外医学社(2017年5月)がある。