やせすぎ、肥満(太りすぎ)と女性の健康2


Q2 やせすぎ、肥満と月経異常の関係は?

A 脂肪細胞から分泌されるレプチンの役割がカギ


体重が急激に減ったり、栄養不足の状態が続いたりすると、月経不順や無月経(3ヶ月以上月経がないこと)になることがあります。そのメカニズムのカギを握っているのが、脂肪細胞から分泌される「レプチン」というホルモンです。
レプチンは月経や排卵の仕組みに深く関与し、生殖機能を調節していることがわかっています。月経を起こすためには一定のエネルギーが必要です。そのため、やせすぎや低栄養(脂肪が減って血中レプチン濃度が低下した状態)になると、女性の体は月経を止めてエネルギーを蓄えようとするのです。無月経の時は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減るため、骨密度が低下したり、血管がつまりやすくなっています。激しい運動でやせすぎると疲労骨折しやすくなるのはこのためです。
肥満の場合は脂肪細胞からレプチンが出続けているため、かえって効きが悪くなり、ホルモンバランスが崩れて月経不順や無排卵月経が引き起こされます。卵巣の中で未熟な卵胞(卵子を包む袋)がたくさん育ってしまい、排卵障害が起こる「多嚢胞性卵巣症候群」という病気が、肥満の方の中に隠れていることもあります。肥満を治療すると、この病気も良くなることがあります。
排卵の有無を知るには、基礎体温を測る方法があります。高温相と低温相の2相に分かれていれば、排卵が起きていることがわかります。

Anetis(アネティス) 2018春号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2018年3月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【淀川キリスト教病院 産婦人科、産婦人科専門医 柴田 綾子(しばた あやこ)さん】

世界遺産を訪ねる旅行中に母子健康の重要性を感じ産婦人科医師を志す。2011年群馬大学医学部卒業。沖縄にて初期研修を行い2013年より現職。共著に「女性の救急外来 ただいま診断中!」中外医学社(2017年5月)がある。