赤ちゃんの心拍・心音で何がわかるの?


超音波検査、胎児心拍数モニタリングで赤ちゃんの心拍確認します。

赤ちゃんの心拍・心音を確認する検査には、超音波検査によるカラードップラー法、妊婦さんのおなかに陣痛計を装着する胎児心拍数モニタリングなどがあります。妊娠職の妊婦健診では、赤ちゃんの状態を見るために、経膣超音波検査によるカラードップラー法などによって心拍を確認します。胎児心拍数モニタリングは、必要に応じて、妊娠後期の妊婦検診などで実施します。

一般的には、赤ちゃんが妊娠6~7週相当の大きさに成長すると、健診の際に経膣超音波検査で、赤ちゃんの心拍・心音が確認できるようになります。

妊娠12週頃までの妊婦健診で、赤ちゃんの心拍を確認出来れば、妊娠の経路が順調に進み、赤ちゃんが生きている証拠です。それまでに赤ちゃんの心拍が確認できなければ、流産の可能性があります。

超音波検査で胎児心拍を確認する際、産婦人科医は、赤ちゃんの心拍数が正常か、リズムの異常である不整脈が無いかなどをみています。母子手帳をもらうときには、自治体によって産婦人科医による妊娠届が必要ですが、妊娠届は、赤ちゃんの心拍を確認してから交付されます。

赤ちゃんの心臓を流れる血液の動きや心音を示す波形は、超音波検査の際、妊婦さん自身もモニターで視覚的に見ることができます。医療機関によっては、赤ちゃんの心臓の動きを音として聞ける場合もあります。

胎児心拍数モニタリングは赤ちゃん元気度をみるために重要です。

胎児心拍数モニタリングは、妊婦さんのおなかに陣痛計を装着し、赤ちゃんの心拍数と子宮収縮圧を測定し、赤ちゃんの状態が良好かどうかを確認する検査です。赤ちゃんの心拍、胎動、子宮収縮の様子を記録する胎児心拍数陣痛図から、赤ちゃんの元気度と分娩の経過を評価します。

一般的に、胎児心拍数モニタリングには、子宮収縮などのストレスを与えずに赤ちゃんの心拍の様子を観察するノンストレステスト(NST)と呼ばれる方法が用いられます。必要に応じて、妊娠後期の妊婦健診の際にもNSTによる胎児心拍数モニタリングを実施します。

この検査によって、赤ちゃんの心拍数が正常範囲内かどうか、一時的に脈が遅くなったり速くなったりして、赤ちゃんにストレスがかかっていないかを確認しています。

また、胎児心拍数モニタリングを用いた検査には、子宮収縮薬の投与によって子宮収縮を人工的に誘発して胎児の状態を見るコントラクション・ストレステスト(CST)という方法もあります。

CSTの実施を検討するのは、妊娠後期に、赤ちゃんの発育が思わしくない場合や妊婦さんに妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの合併症がある場合などです。子宮収縮に対して赤ちゃんの心拍数がどう変化するか観察し、赤ちゃんの健康状態を総合的に評価します。

妊娠後期から分娩時心拍の異常があったら急に帝王切開になることも。

赤ちゃんの心拍数は妊娠週数によっても変化します。妊娠5~6週の心臓の動きは少し遅く、心拍数は90~100回/分程度で割とゆっくりです。妊娠後期以降、赤ちゃんの心拍数は、110~160回/分が正常範囲です。赤ちゃんの心拍数が110回/分未満になると徐脈で、赤ちゃんに何らかのストレスがかかって心臓の動きが遅くなってしまっている可能性があります。例えば、赤ちゃんの体と子宮の壁の間にへその緒が圧迫される臍帯圧迫(さいたいあっぱく)が起こると、一時的に赤ちゃんへの血流が低下し徐脈になります。赤ちゃんの頭より下にへその緒が出てしまう臍帯脱出、分娩前に胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離などが起こったときにも、赤ちゃんに血液が行かなくなって徐脈になってしまいます。

胎児心拍数モニタリングで異常が検出され赤ちゃんに酸素が行かない状態になっているなどと診断されたときには、帝王切開や吸引分娩、鉗子分娩によって赤ちゃんを速やかに娩出する必要があります。

最近では、市販の心音計も販売されていますが、赤ちゃんの位置や週数によっては赤ちゃんが元気でも心音が聞こえにくい場合があります。心配なときには、かかりつけの産婦人科に連絡し相談しましょう。