産後の心を健やかに1


Q1 産後は気分が落ち込みやすいって本当?

A 10人に1人がかかる 「産後うつ病」に要注意!


「マタニティーブルーズ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。お産を終えると女性ホルモンが急激に減少するため、産後3日目ぐらいから、ふさぎ込んだり、涙もろくなったりするなどの軽い気分の変化(抑うつ状態)が、30〜40%の人に起こります。このような状態を、マタニティーブルーズといいます。これは、一過性の生理的な変化で病的なものではなく、2週間以内に消失します。
一方、産後、数週間〜1年程の間に、不眠や食欲不振、疲労感、気力の減退など、中度から重度のさまざまな不調に悩まされるようになる人もいます。これは「産後うつ病」と呼ばれ、10人に1人ぐらいの割合で起こります。具体的には、下表のような症状が1、2週間以上続いた場合は、産後うつ病が疑われます。
 産後うつ病は、気分のいい人悪い日の変動が激しいのが特徴です。そのため、本人も周囲も「病気」と気付かないままに、悪化させてしまうケースが少なくありません。自然に軽快するマタニティーブルーズとは違い、適切はケアや治療が欠かせないことを、知っておいてください。

Anetis(アネティス) 2015−16冬号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2015年11月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【葛飾赤十字産院 副院長 鈴木 俊治(すずき しゅんじ)さん】

1988年に長崎大学医学部卒業。日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣を経て米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後に日本医科大学産科婦人科学講師、同助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て2006年より現職。