「性差医療」って何ですか? 3


Q3 女性の健康と女性ホルモンの関係?

A 血管や骨を守る女性ホルモンの働き


女性ホルモンは女性の心と体の健康を守る働きをしています。その証拠の一つが、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患の発症年齢の性差です。これらの病気のリスクが高まる年齢は、男性は45歳ごろからであるのに対し、女性は10年遅く55歳以降です。閉経前には、女性ホルモンが動脈硬化を抑え、血管を守っているのです。
 更年期には女性ホルモンの分泌量が急激に下がることで、心身の不調を感じる人が多くなります。閉経後に肌が乾燥しやすくなったり骨粗しょう症が増えたりするのも、女性ホルモンの低下の影響です。
 一方、閉経前の女性に注意してほしいのが、月経にまつわるトラブル、「月経不順」や「月経痛」です。月経不順の女性の中には、卵子の入っている袋である卵胞が卵巣内にたくさんできる「多のう胞生卵巣症候群(PCOS)]の人がいます。PCOSは不妊の原因になるだけではなく、将来、糖尿病を発症しやすくなります。
 また、月経痛は、子宮内膜症や子宮筋腫が原因である場合があります。子宮内膜症の人は、婦人科ガンにもなりやすくなります。
 月経痛や月経不順は「よくあること」と思いがちですが、放置せず、産婦人科を受診するようにしましょう。

Anetis(アネティス) 2016春号 女性の体なんでも相談室より

※こちらは2016年2月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【東京女子医科大学 産婦人科学講座講師 石谷 健(いしたに けん)さん】

1994年慶應義塾大学医学部卒業。国立病院機構東京医療センター産婦人科勤務後、ハーバード大学医学部に留学し婦人科がんの疫学研究に関わる。2014年より現職。専門は婦人科がんの治療、ホルモン補充療法、漢方療法など。