「低出生体重児」が増えている 1


Q1 どのくらい小さくなったのですか?

A 10人に一人が低体重児に30年で約2倍に増加


2016sum-nin-01_03出生体重は、赤ちゃんの健康状態を知る重要な手がかりの一つです。
赤ちゃんは何か医学的な問題があると小さく生まれる傾向があり、
ボーダーラインとされている2500g(国際基準)より小さいと、病気や障害などを合併することが多くなります。
2500g未満の赤ちゃんは「低出生体重児」と呼ばれています。
出生体重はお母さんの体格に影響を受けるので、大柄な女性が多い欧米やモンゴルなどと比べ、
日本の赤ちゃんは総じて小柄です。

また最適な体重には個人差もあり、2500g未満だからといって必ずしも困ったことが起こるわけではありません。
とはいえ、日本の赤ちゃん全体の動向に目を向けると、少し心配な状況が見えてきます。
最も大きく生まれていた1975~80年ごろの平均出生体重は約3200gでしたが、
その後の30年間で男女とも約200g減りました。
低出生体重児の割合は20人に1人から10人に1人へと、約2倍に増えています。

 

Anetis 2016夏号 妊娠なんでも相談室より

※こちらは2016年6月時点の情報/記事になります


■ 回答者■


【国立成育医療研究センター 政策科学研究部長/臨床疫学部長 森 臨太郎(もり りんたろう)さん】

1955年岡山大学医学部卒業、同大学博士課程修了。新生児科医としてオーストラリア、イギリスの病院で勤務の後、世界保健機関テクニカルオフィサー、東京大学大学院国際保健政策学准教授、国際母子保健研究所所長等を経て2012年より現職。専門は成育保健、国際保健、周産期医学、疫学、政策など。厚生労働省の委託研究で低出生体重児の発症メカニズムや長期予後の解明に取り組む。