手厚いスタッフ体制と情報公開で 「無痛分娩」をより安心・安全に 1


お産の痛みを麻酔で軽減 赤ちゃんへの血流も改善


無痛分娩は、麻酔を用いて、経膣分娩の痛みを和らげる分娩法です。一般的に、「硬膜外麻酔」という麻酔法を使います。
「硬膜外麻酔は、背中の神経(脊髄)の近くの硬膜外腔というスペースに軟らかいカテーテル(管)を入れて麻酔薬を注入し、下半身の痛みを感じる神経を遮断する方法です。眠ってしまうわけではないので、会話は普通にできますし、新生児や授乳への影響はありません。フランスでは全分娩数の65.4%、イギリスは20.8%と世界的にも普及している分娩法です。当院では全分娩の20~30%と増加しつつあります」と澤田先生は解説します。日本産婦人科医会の「分娩に関する調査」(2017年6月) によると、日本で2014~16年に行われた無痛分娩はお産全体の5.3%でした。
「日本では、『お産は痛くて当たり前』といった古い概念が根強い面があります。しかし、無痛分娩では、お産の痛みが軽減されるので体力の回復が早く産後の育児が楽に始められるメリットがあります」と澤田先生は話します。
妊婦さんの痛みを軽減することは、循環動態(血流の状態)の安定をもたらします。また、精神的ストレスを回避して、安全な分娩を行うことができるようになります。そのため、妊娠高血圧症候群を合併する妊婦さん、さらに心臓や肺に持病がある妊婦さんにおいても、安心して経膣分娩に臨めます。

麻酔事故防止へ 研究班が安全策を打ち出す


新生児の死亡、または重度障害を負った事故が17年に相次いで発覚しました。これを受けて、厚労省の研究班が、実態把握と安全な提供体制の構築に関する提言を行いました。
研究班の実態把握の結果、無痛分娩の妊産婦死亡率は、「麻酔を使わない一般的な分娩と変わらない」と分析されています。ただし、前述の「分娩に関する調査」には、重篤な麻酔合併症が起こった事例が報告されています。
そのため、提言では、無痛分娩を行う医療機関に、麻酔管理者の配置と責任の明確化→硬膜外麻酔開始3分間は集中的に産婦の全身状態とバイタルサインを観察→麻酔担当医が緊急時に迅速に対応できる診療体制を取ること ――などを求めました。また、「無痛分娩の診療実績」「標準的な方法」「急変時の体制」「麻酔担当医の講習会受講歴」などの情報をウェブサイトなどで公開することもあわせて提言しています。

Anetis(アネティス) 2019-20冬号 [いのちとくらしのFrontline]より

※こちらは2019年11月時点の情報/記事になります


■ お話をうかがった先生■


足立病院院長
澤田守男先生

1996年京都府立医科大 学卒業。国立がんセンター中央病院婦人科医員、京都府立医科大学大学院女性生涯医科学学内講師などを経て、2019年1月より足立病院産婦人科部長。同年4月より現職。専門は、産婦人科一般、婦人科腫瘍、女性医学。安全なお産の体制づくり 強化に力を入れる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL