妊産婦さんのための「妊娠中・産後の食生活」教室1


妊娠中のママの体重変化は、おなかの赤ちゃんにどう影響しますか?


—そもそも、妊娠するとなぜ体重が増えるのでしょう?

まずは おなかの中の赤ちゃんがすくすく育つのに合わせて増えます。羊水、胎盤の分もありますね。そして体中を流れる血液量も通常の約1.5倍に増え、さらに子宮や皮下脂肪なども増加します。全部足すと平均で約11kg。全て赤ちゃんの成長に欠かせないものです。出産後は赤ちゃんの分の重さが減り、羊水や胎盤が出て、そして血液量も徐々に戻っていきます。
妊娠中の推奨体重増加量は、体重と身長から計算される体格指数であ るBMI(Body Mass Index)の値により異なります。妊娠前のBMIが18.5以上25.0未満の標準体重の場合は、7~12kgの増加がちょうどよいと されています。BMIについては近年広く知られるようになっていますが、初めて聞いたという方は一度計算してみてください。

—太り過ぎ と痩せ過ぎ、 どちらに気をつければよいですか?

国の調査によると、妊娠が可能な年齢の女性のうち約5%はBMIが2.0以上の「肥満」に分類されています。一方、18.5未満の「痩せ」に属し ている女性も約20%に達しています。妊娠期間中に過栄養状態が続けば赤ちゃんは4000g以上の巨大児として、低栄養状態が続けば2500g 未満の低出生体重児として生まれるリスクが高ります。太り過ぎと痩せ過ぎの問題はどちらも同じぐらい見過ごせない状況です。
また最近の日本人の食事は、エネルギー量が1950年代と変わらない水準であるにもかかわらず、脂質の摂取量はぐっと高くなっています。 反対に脂質以外の三大栄養素であるたんぱく質 と 糖質は緩やか に減少してしまっているのです。そのため普通の体格や痩せ型であるにもかかわらず実は体脂肪率が高い「隠れ肥満」の方も増えています。

—赤ちゃんが生活習慣病になりやすくなる?

妊婦さんの過栄養の状態が続くと、赤ちゃんが巨大児として生まれる だけでなく、将来高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高まってしまいます。また近年の研究では赤ちゃんが痩せて生まれた 場合にも、肥満の赤ちゃんと同じように生活習慣病 の発症リスクが高まることが裏付けられています。赤ちゃんが痩せて生まれる=子宮の中で栄養が少ない状態です。すると赤ちゃんの体は、低栄養の環境 に適応するため、運ばれてきた貴重な栄養をできる限り脂肪として蓄えようとする体質になっています。 赤ちゃんが小さく生まれるとママやパパはやっぱり「うちの子は小さいから、たくさん食べて大きくしてあげなくちゃ」と思ってしまいますよね。そうすると、赤ちゃん は必要以上の食事を摂取してどんどん体に脂肪をため込み、さらにその食事は高脂質な食べ物で……、という悪循環に陥ってしまうことにもなりかねません。

Anetis(アネティス) 2019-20冬号 [かかりつけの産婦人科医を一生のパートナーに]より

※こちらは2019年11月時点の情報/記事になります


■ お話をうかがった先生■


愛媛大学医学部
産科婦人科学 教授
杉山 隆 先生

2002年三重大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座助教授。12年東北大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座准教授。15年愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座教授、16年同大医学部附属病院周産母子センター長兼任。18年より同病院副院長兼任。

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